大多数の人は知らないだろうけど、
今泉健司さんがプロ棋士になった。
41歳の快挙である。
ただしこれには26歳までという年齢制限が課せられている。
その為奨励会入会は若ければ若いほど有利となり、今では小学生が大半である。
合格すると大抵6級から始まるのだが(それでもアマでは4・5段に相当)26歳までにプロである4段を目指す。
今泉さんはプロ棋士の一歩手前、3段まで進んだがそこで年齢制限に抵触して退会。
この時に胸中は想像を絶する。
小学生で入会してそれ以来はず~っと将棋漬けである。他には無いもしていない生活だ。
奨励会に入ったらプロになるか、挫折するかという極端な二者択一なのでプロになれなかった場合は多くの悲劇が生じる。
将棋なんて強くても世間では全く無用なスキルだから当然だが・・・、これは切ない。
今泉さんも26歳で世間に放り出されて相当苦杯を舐めたらしい。
この手の話は「将棋の子」に詳しい、読んで胸が痛くなる本だった。
それでも実に30年に亘って諦めずに精進した。
41歳という年齢は、正直棋士としてのピークは過ぎている。
今後活躍する、というのは極めて残念だが、幻想である。
むしろ若手棋士のカモであろう。
しかし、それでも一度は人生の主役には成った。
決して腐らずに
自暴自棄にもならず、
30年間も諦めずに、
不惑を超えて、
新四段の最高齢記録を更新した。
彼の生き様に比べて、我が身のみすぼらしい人生を衷心より恥じる。