読書感想文:2

はあー、今日も雨だったよ、配達疲れた~。
 
底辺の仕事らしく雨でも何の手当も無いんだよね、辛いのにね。
無論昇給も無いしね、売れないしね、新聞も私も斜陽だね。
 
あーあ、なんもやる気が起きないよー。
 
こんな時は自分よりさらに底辺な人間を見て慰めるしかないね、うむ、うむ。
 
 
 
 
「教晦師」堀川恵子著を読んだ(正確には晦はゴンベンだが表示されない!)
 
面白く読めた。まあ、面白いといってもケロケロ笑るような代物ではないけどね。
 
私は学生の頃法曹界に憧れていたこともあり刑事司法には興味があったよ(遠い目・・・)。
 
巷間流布されていることだが、”その国のことを知りたければ市と獄を見よ”というのがある。
 
その意味で監獄というのはこの国のありようが垣間見れるのではないか。
入るのは嫌だけど安全な場所から覗き見したい、というアレですね、へへ♪
 
 
さて教誨師です。教誨師の仕事は対象者に寄り添って精神の安定を図るということなんやけど、対象者はいずれも死刑囚で社会復帰は絶望的である。
だからこそ逆に教戒師は気楽な稼業だという告白には正直、笑ってしまった。
 
さらに教誨師を志望する人が必ずしも奉仕や慈悲ではなく自己の経歴に箔をつける為という指摘も人間臭くていい。
 
どんな偉そうなことを言っても所詮言葉などはタダである。この本を読むと教誨師といっても俗人と変わらないと痛感する。
 
驚かされるのは死刑囚といっても意外なほど常識や情緒をわきまていることである。
いわゆる”血も涙もない殺人鬼”などというのはフィクションである。
連中にも筆舌に尽くしがたい懊悩が存在している。
 
しかし連中の行動はあまりにも短絡で幼稚というか・・・、自らの胸中を韜晦出来る術を知っていれば回避できたのではと思うことも多い。
あるいは周囲にちゃんとした”大人”がいればと何度も思った。
出会うべき時に出会うべき人に逢えなかったことは悲劇である。
 
”人生の決定的な場面で善と悪、そのどちらかが出てしまうのは運である”
 
これが最も印象に残った。